2025年9月12日(金)22:00~23:00
写真集の夜
飯沢耕太郎オンライン・フォトブック・ギャラリー
第5回 『細倉を記録する寺崎英子の遺したフィルム』
Posted by local knowledge on August 29th, 2025
寺崎英子さんは1941年満州に生まれ、終戦後、家族とともに宮城県鶯沢町細倉(現栗原市)に移住されました。細倉には、鉛や亜鉛を産出する日本有数の細倉鉱山がありました。幼少期に患った脊髄カリエスとの闘病ののち家業の商店で経理の仕事をしていた寺崎さんは、閉山が発表された直後の1986年から鉱山の町に暮らす人々を撮り始めます。そして膨大なフィルムを残し、2016年に逝去されました。
10年ほど前に生前の寺崎さんからネガを託されたのが、仙台を中心に活動されていた写真家の小岩勉さんです。小岩さんは、写真集『細倉を記録する寺崎英子の遺したフィルム』を仲間とともに2023年に編み、地元出版社・荒蝦夷から発売されました。地味な内容にも拘わらず、制作した800部は既に売り切れてしまっています。
小岩さんの手元には、収録しきれなかった写真に加えて、短歌・俳句といった寺崎さんの作品がまだまだ残っているのだそうです。これを機に新たな写真集の出版企画が始動することを願って、「写真集の夜」第5回は、小岩さんをゲストにお迎えします。写真評論家・飯沢耕太郎さんと、寺崎さんの作品ひとつひとつを取り上げながらその魅力を語り合っていただきます。
(飯沢さんコメント)
寺崎英子さんが撮影した、細倉鉱山の閉山前後の記録写真を最初に見た時、その写真のクオリティの高さに驚かされました。貴重な記録写真としての価値はいうまでもないのですが、被写体にカメラを向け、その細部まで目を凝らして、実に的確に画面におさめていく写真家としての能力に感銘を受けたのです。失われてしまう時空間を、何とか写真に遺したいという強い意志と、細倉の街と人への愛情が一体化した魅力的な写真群です。寺崎さんの遺志を受け継いで写真集を刊行した小岩勉さんと、彼女とその写真の素晴らしさについて語り尽くしていきたいと思っています。ぜひご視聴ください。
開催概要
| 名称 | 写真集の夜 飯沢耕太郎オンライン・フォトブック・ギャラリー 第5回 『細倉を記録する寺崎英子の遺したフィルム』 |
|---|---|
| 開催日時 | 2025年9月12日 (金) 22:00~23:00 ※見逃し配信は行いません。後日、アーカイブ動画を有料で販売する予定です。 |
| ゲスト | 小岩勉 (写真家、『細倉を記録する寺崎英子の遺したフィルム』発行者) |
| 案内人 | 飯沢耕太郎 (写真評論家) |
| 形態 | Zoomウェビナー(Webinar)を利用したオンラインギャラリーです。 ※お申込みいただいた方には参加URLを事前にメールにてお送りします。 |
| 参加料 | 無料 |
| 参加方法 | このウェビナー(Webinar)を申し込む |
| 購入期限 | チケットの申込期限は当日9月12日の21:00までとさせていただきます。 |
| 主催 | スタイル株式会社 |
今夜の写真集
『細倉を記録する寺崎英子の遺したフィルム』
著者:寺崎英子
編集:寺崎英子写真集刊行委員会(小岩勉・鈴木まどか・柴崎春俊)
発行:小岩勉
発売:荒蝦夷
発売日:2023年3月31日
4,290(品切れ中)

飯沢耕太郎(いいざわ・こうたろう)
写真評論家。詩人。1954年、宮城県生まれ。1977年、日本大学芸術学部写真学科卒業。1984年、筑波大学大学院芸術学研究科博士課程修了。主な著書に『写真美術館へようこそ』(講談社現代新書1996)、『私写真論』(筑摩書房2000)、『デジグラフィ』(中央公論新社 2004)、『きのこ文学大全』(平凡社新書2008)、『写真的思考』(河出ブックス 2009)、『キーワードで読む現代日本写真』(フィルムアート社、2017)、『African Sketchbook』(Purple、2025)、『猫島からの帰還』(ふげん社、2025)などがある。
(撮影:うつゆみこ)

小岩勉(こいわ・つとむ)
1962年岩手県生まれ。写真集「女川海物語」カタツムリ社、FACES OF HUMANITY 93/94」共著、「野守の鏡」私家版。作品掲載「破局の後を生きる」世界別冊/岩波書店、「技術とは何だろうか」ハイデガー/森一郎 訳/講談社、「ツァラトゥストラはこう言った」ニーチェ/森一郎訳/講談社、「アーレントと革命の哲学」森一郎/みすず書房 他
「細倉を記録する寺崎英子の遺したフィルム」で2024年日本写真協会賞学芸賞、日本自費出版文化賞特別賞受賞。
(左は寺崎英子さん)


