
優れた家族写真はそれ自体がアートである
A good family photo is an art in itself
Photo : 昭和 / AK Photo / Adobe Stock
Posted by local knowledge on August 6th, 2025
私自身が「レンズ沼」(それなりに高額なF1.2/85mmなどを購入)にハマるきっかけになったのは、ご多分に漏れず、第一子(長女)を授かった直後からで、その頃の写真を見返してみると、色々な工夫を施すことで「いい写真」になるよう腐心していることが手に取るようにわかります(実際「いい写真」がたくさんあります)。この「家族に対する愛情」に溢れているのが家族写真の特徴で、これにはどんなアート系の優れた写真もかないません、というか、アート系の写真と家族写真は、同じ「写真」という言葉を使ってはいますが、全く別のもの、比較対象するようなものではないのだと思います。
これは、撮影した当事者や被写体にしかわからない「記憶の価値」を記録しているからでしょう。ピンポケだろうと色褪せたプリントであろうと、その家族写真の価値が劣化することはありません。特に被写体が故人の場合は「その写真の中で、彼(故人)はまだ生きている」ことを実感するので、かけがえのない一枚になります(このテーマだけで一冊本が書けそうですね)。ついでに言えば私たちは多くの場合一人一人が複数の「家族」に所属しています。私も、自分自身が父長を務める家族に所属すると同時に、自分が子供(三男坊です)である家族に同時並行して所属しています。家族なるものは「特定の時期を一緒に過ごした数人の特定集団」ではなく、連綿と続く(だから「族」なわけですが)時間の流れのようなもの(方丈記みたいになってきました)ということですね。
しかし、家族の中に「優れたフォトグラファー」がいると少し話しが違ってきます。個人の、汎用性のないはずの記憶がアートになってしまうのです。そのアートとしての表現力には、個別家族のローカルなストーリーをまるで映画のような「他人の鑑賞に耐えうる」作品に仕立て上げてしまう力があります。今回「写真集の夜」にご登場いただく守田衣利さんは、熊本生まれ東京の下町育ち、ニューヨークで結婚され娘を出産してまもなく家族でマウイ島へ移住、そしてそのあと東京、上海、熊本、宮崎と転々とされ、カリフォルニア州サンタモニカを経て最終的にはサンディエゴに定着することになる母親であり、フォトグラファーです。今回ご紹介する写真集『Moon Rainbow』は、フォトグラファーとして娘の成長を18年間見つめ続けた、愛しさに溢れた家族写真を編んだ一冊です。
しかし、家族の中に「優れたフォトグラファー」がいると少し話しが違ってきます。個人の、汎用性のないはずの記憶がアートになってしまうのです。そのアートとしての表現力には、個別家族のローカルなストーリーをまるで映画のような「他人の鑑賞に耐えうる」作品に仕立て上げてしまう力があります。今回「写真集の夜」にご登場いただく守田衣利さんは、熊本生まれ東京の下町育ち、ニューヨークで結婚され娘を出産してまもなく家族でマウイ島へ移住、そしてそのあと東京、上海、熊本、宮崎と転々とされ、カリフォルニア州サンタモニカを経て最終的にはサンディエゴに定着することになる母親であり、フォトグラファーです。今回ご紹介する写真集『Moon Rainbow』は、フォトグラファーとして娘の成長を18年間見つめ続けた、愛しさに溢れた家族写真を編んだ一冊です。
https://www.localknowledge.jp/2025/08/1998/
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