探索的思考ツールの未来を体感しつつ、デジタルライブラリーの将来を妄想する

探索的思考ツールの未来を体感しつつ、デジタルライブラリーの将来を妄想する

Posted by local knowledge on June 24th, 2022

戦後の日本で盛んに行われた「公文書焼却」は、なんと閣議決定事項 でした。安倍政権時に問題になった公文書偽造なども併せて考えると、公文書を「なかったことにする」のは70年以上に渡って連綿と続く日本のお家芸なのかもしれません。テレビ局が自らが制作した映像を破棄してしまい、視聴者から集めざるを得ない(実際にはYoutubeに投稿される)という状況もみなさんご存知の通り。そうなってくると自律分散型組織(Decentralized Autonomous Organization )というのは(実際にはNFT:Non-Fungible Tokenの文脈で語られている言葉ですが)、案外これからの日本のアーカイブズ(archives)の形として有効なのかもしれません。中央集権的な保存方法では「いつ捨てられるかわかったもんじゃない」からです。各地域が分散して保存し、かつそれらのアーカイブズが疎結合(loose coupling)している状態のほうがはるかに堅牢だと考えられるわけです。図書館の関係者のみなさんに言いたいのは、例えば「国立国会図書館の所有する約153万点の資料が、オンラインで閲覧可能になった」 ことに一喜一憂している暇があったら、せっせと独自アーカイブズを増やし、かつ他の図書館と連携していく技術的な方法を模索するほうが(実は)はるかにアーカイブズの未来を明るいものにする可能性が高い、ということでしょうか。

来週は(本の場も含め)ローカルナレッジ関連のイベントを予定していませんが、来週水曜日の夜に実施する「シュレディンガーの水曜日(Schroedinger’s Wednesday)」に、このデジタルライブラリ分野で数多くの構築実績がある国立情報学研究所の高野明彦さんが登場します。ここでの講演は、かの梅棹忠夫が構想したと言われる「ウイルソンの霧箱(cloud chamber)」的装置による情報探索の在り方がメインテーマにはなりますが、千代田区立図書館を始めとして、様々なデジタルライブラリーの構築に関わった高野さんのことなので、図書館のデジタルライブラリ構築にまつわるいろんなよもやま話が聞けるはずです。彼が喋ろうとしない場合は私が無理やり引っ張り出します。通常の「シュレディンガーの水曜日」は研究者向けのサロンですが、来週の水曜日に関してはみなさんも楽しめる一夜になると思います。無料ですのでぜひご参加ください。ただし、永田町や霞ヶ関界隈に生息する方は申し込まないでくださいね(笑)。 月曜か火曜くらいには詳細がご案内されますのでチェックいただければ幸いです。

ローカルナレッジ 発行人:竹田茂

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