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写真という言語にパラフレーズしてみる

Paraphrase the Words into Photographs

Photo : 輪王寺山門 初夏 / rujin / Adobe Stock

Posted by local knowledge on June 16th, 2025

通常私たちは無意識にマルチモーダル(multimodal)なコミュニケーションを行なっていますが、これらを受信系と表現系のマトリックス(e.g. 視覚×色、聴覚×音楽、など)としてマッピングすると、表現系が普段私たちが“駆使”している言語、すなわちコミュニケーションの道具であることがわかります。通常私たちは無意識に下記のような「道具」をその道具自身が持つ体系に沿った形で使っています。

1)言葉:母国語、外国語、標準語/地域語(方言)、それぞれのテクスト(langue)と発話(parole)
2)ノンバーバル言語(ボディランゲージ):手話、所作、態度、表情、踊り、スポーツ
3)数学:数式(計算)、記号、プログラミング言語、アルゴリズム(AI)、機械(machine)
4)芸術:アート/デザイン、絵画、彫刻、版画、写真、形状、構造、建築、パターン、色
5)装飾:衣装、服、飾り、香り(4 に含めてもいいかも)
6)音楽:リズム、メロディ、ハーモニー、その他音波の振動全て
7)自然:ヒトや人工物以外の自然現象との交信、霊性や直感なども含む
8)常識:マナー、法律、倫理、世界観、宗教(心)、死生観

これらは初等教育における国語・算数・理科・社会・道徳・美術・体育などのカリキュラムとも概ね一致しますが、実際の日常生活は、ほぼ 1)と 2)を駆使するだけでそこそこ快適に過ごせます。そしてその日常会話の中で相手をより強く説得しようとするときに、アナロジーを多用したパラフレーズを駆使したりしますが、問題はそのパラフレーズが上の1)から8)までのそれぞれのカテゴリーの中だけで行われることが多い、ということですね。なので、例えば会話の途中でメモ用紙を引っ張り出して3)を利用しようとしたりすると大抵嫌われます(笑)。

ただ、やはり重要なのは、私たちは潜在的に1)から8)の「コミュニケーションの道具としての言語体系」を使うポテンシャルを持っていること、そしてそれらのカテゴリーを横断(翻訳)しないと通じない、あるいは見えてこないものがある、ということ、でしょうか。例えば「自分の部屋くらい、ちゃんと掃除しておけよな」と(言葉で)言い放つよりは、「これ、ちょっと読んでおいて」と言いつつ下記の写真集を手渡すと、説得力が桁違いです。

この本は良品計画から発売されている、世界中の「掃除」を写真やイラストで解説した原研哉さん監修による写真集で(サイズはB6判とA6判の中間くらいの文庫本に近いのですが、504ページもあります)掃除の奥深さに魅了される写真が満載です(掃除する時間がなくなると思います)。

「写真集の夜」はこの写真(集)が持つパワーをもっと身近に感じていただきたい、ということでスタートしました。第2回の今夜は、フォトグラファーの金川晋吾さんをゲストにお迎えし、写真評論家・飯沢耕太郎さんとお二人で、写真集『明るくていい部屋』を眺めながらざっくばらんに、なるべくぼんやりと、皆さんが眠くなるように語り合っていただきます。夜の10時にスタートです。下記からお申し込みください。無料です。
https://www.localknowledge.jp/2025/05/1952/

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