2026年7月10日(金)22:00~23:00
写真集の夜
飯沢耕太郎オンライン・フォトブック・ギャラリー
第14回 岡庭璃子『凪のめぐる』
エコパーク水俣 明神町高台から |2023 吉永理巳子さんの庭からの眺望。エコパーク水俣が一望できる。埋め立てられる前は海だった。
Posted by local knowledge on June 18th, 2026
ただ、今の水俣をまっすぐに見て、記していく。理解できないからと目を逸らすのではなく、わからないものは、わからないままに写しとればいい。
(「記憶ノート」p.09)
2022年から水俣に通いつづけて、今の水俣の風景やそこで暮らす人びとを撮影し、文章を綴ってこられた岡庭璃子さんが、今春、『凪のめぐる』を自費出版されました。写真集、記憶ノート、水俣の地図の3つのパートで構成された書物です。
写真集には、息をのむほどに美しい海や山や川の風景写真や、岡庭さんがお話を聴かれた方々の人物写真が、一切の説明なしに並べられています。その中にときどき、「あれっ?この写真は何だろう」と感じる殺風景な光景が現れます。
記憶ノートには、それぞれの取材の様子が詳しく綴られていて、読み進めるうちに、写っていた人物がどんな方々だったのか、水俣病とどんな繋がりがあったのかがわかっていきます。また、全作品のキャプションがまとめられていて、たとえば、さっき「あれっ?」と感じたのが「かつてチッソが有機水銀を垂れ流していた百間排水口」だったんだ、とわかったりします。地図には、それぞれの作品がどこで撮られたのかがマッピングされています。
今年は、水俣病が公式に確認されてから70年になる節目の年です。水銀で汚染された海は既に埋め立てられて公園になり、水俣湾で獲れる魚は安心して食べることができ、かつてのチッソの流れをくむ工場は、現在も街の重要な働き口のひとつとなっているそうです。
「写真集の夜」第14回は、『凪のめぐる』を作られた経緯や個々の収録作品について、岡庭さんと飯沢さんに存分に語り合っていただきます。
(飯沢さんコメント)
岡庭璃子さんは、2022年から水俣とその周辺の人と風景を撮影しています。東京自由大学の企画で当地を訪れたのがきっかけで、最初から強い思い入れがあったわけではなかったようです。でも、地元の方たちの案内でメチル水銀を含むヘドロを埋め立てたエコパーク、水俣病訴訟の原告たちの拠点となってきた相思社、紙漉きと機織りのはぐれ雲工房などを訪れるうちに、水俣へのかかわりが深まってきました。それから4年余りで撮影した写真をまとめた写真集『凪のめぐる』を手掛かりに、岡庭さんと水俣との出会いと触れ合いの軌跡を辿ってみたいと思っています。
開催概要
| 名称 | 写真集の夜 飯沢耕太郎オンライン・フォトブック・ギャラリー 第14回 岡庭璃子『凪のめぐる』 |
|---|---|
| 開催日時 | 2026年7月10日 (金) 22:00~23:00 ※見逃し配信は行いません。後日、アーカイブ動画を有料で販売する予定です。 |
| ゲスト | 岡庭璃子 (写真家) |
| 案内人 | 飯沢耕太郎 (写真評論家) |
| イベント形態 | Zoomウェビナー(Webinar)を利用したライブ配信です。 ※お申込みいただいた方には参加URLを事前にメールにてお送りします。 |
| 参加料 | 無料 |
| 参加方法 | このウェビナー(Webinar)を申し込む |
| 購入期限 | チケットの申込期限は当日7月10日の21:00までとさせていただきます。 |
| 主催 | スタイル株式会社 |
今夜の写真集

飯沢耕太郎(いいざわ・こうたろう)
写真評論家。詩人。1954年、宮城県生まれ。1977年、日本大学芸術学部写真学科卒業。1984年、筑波大学大学院芸術学研究科博士課程修了。主な著書に『写真美術館へようこそ』(講談社現代新書1996)、『私写真論』(筑摩書房2000)、『デジグラフィ』(中央公論新社 2004)、『きのこ文学大全』(平凡社新書2008)、『写真的思考』(河出ブックス 2009)、『キーワードで読む現代日本写真』(フィルムアート社、2017)、『African Sketchbook』(Purple、2025)、『猫島からの帰還』(ふげん社、2025)などがある。
(撮影:うつゆみこ)

岡庭璃子(おかにわ・りこ))
写真家。Nippon Design Center所属。立教大学社会学部メディア社会学科卒。
桃山学院大学経済学部卒業後に写真を始める。
広告・デザインの現場で撮影に携わりながら、個人の制作では、人物や土地に残る記憶、語られないもの、言葉にならない時間を見つめてきた。
2021年、銀座・大阪キヤノンギャラリーにて個展「ヒマラヤの麓の龍の国 −Druk Yul−」を開催。2022年より水俣に通い、NPO法人東京自由大学のウェブマガジン「なぎさ」にて長期プロジェクト『凪のめぐる』を連載中。2026年、同作を写真集として自費出版。
主な展示に、いちはらアートミックス(2014)、HUNGRY EDITIONS展(2015)、日本デザインセンター画像制作部展「Format ⇄ Non Format」(2017)、森岡書店(2024)など。


