島薗塾

【島薗進氏による私塾】あなた自身の死生観のために
第3回:地域の人々の実存を支える「文化的処方」

Posted by local knowledge on May 14th, 2024

宗教学者・島薗進氏のオンライン私塾の第3シリーズ「あなた自身の死生観のために」、第3回は「地域の人々の実存を支える“文化的処方”」と題して、鳥取大学医学部地域医療学講座の孫大輔さんをお迎えします。

メインスピーカーである島薗進氏の今回の講義に対するコメントです。

第3回は地域医療学の孫大輔さんをお招きして、地域社会において医療と宗教や文化の交わる新たな形について話し合っていきたい。人々が死生観を問われ、それぞれに自らの死生観を探求していくきっかけとなるのが、老病死などの限界状況である。それに対して、これまでの病院における医療による対応では限界がある。在宅医療、家庭医療、地域医療といった名前でよばれる人々の生活の場と関わりながら行われる医療の可能性に期待がかけられている。診察をして薬の処方をして、「後は自分で療養して下さい」という医療機関中心の医療に対し、地域社会でのよき社会関係の形成を促すような「社会的処方」が一つの方策として考えられている。これに対して、今回、孫先生が提案されるのは「文化的処方」だ。あなた自身の死生観を養うには、確かに文化やアートの力が欠かせない。孫先生が自ら関わって来られた「文化的処方」について、その可能性をともに考えていきたい。

ゲストの孫大輔さんからは以下のタイトルとコメントをいただきました。

地域医療における文化的処方の可能性:ウェルビーイングと実存を支えるアートの役割

総合診療医は地域に暮らす人々の生の営み、つまり、人々の生と死のさまざまな場面に関わる。哲学者ヤスパースの言葉にならえば、病いや死という限界状況に直面することで、人は自己の実存という全体性を回復する契機を得る。この「実存」、あるいは人々のウェルビーイングを下支えするものとして「文化的営み」は極めて重要であろう。私はこれまで地域活動や医療者教育において映画・演劇などのアートを活用してきた。地域医療における社会資源の活用である「社会的処方」にならって、そのようなアプローチを「文化的処方」と呼ぶこともある。私は、地域医療や看取りをテーマにした短編映画をいくつか制作した経験から、人々が映画を共に鑑賞するだけでなく、共に「つくる」行為に可能性を感じている。今回の話を通じて、地域に暮らす人々の健康とともに、ウェルビーイングと実存を支えるものとしての文化的処方の可能性を探究してみたい。

開催概要

イベント名称【島薗進氏による私塾】あなた自身の死生観のために
第3回:地域の人々の実存を支える「文化的処方」
開催日時2024/5/24(金)19:00~21:00
※今回は、動画アーカイブ配信はございません。
プログラム19:00 島薗氏によるトーク
19:40 孫氏によるトーク
20:30 休憩
20:40 ダイアログ/質疑応答
話題提供者島薗 進(しまぞの すすむ)
大正大学地域構想研究所客員教授
ゲスト孫大輔(そん だいすけ)
鳥取大学医学部地域医療学講座
イベント形態Zoomミーティングを利用したオンラインイベントです。
※お申込みいただいた方および「ローカルナレッジ」月額サブスクリプションメンバーの方には、参加URLを事前にメールにてお送りします。
参加料1,500円(税込)
※月額サブスクリプションメンバーは不要
参加方法このウェビナー(Webinar)のみ申し込む
または月額500円(税込)のサブスクリプション サブスクリプションに登録する
※サブスクリプションメンバーは月額500円のお支払いだけで、毎月3〜4回実施される「ローカルナレッジ」が開催する全ての有料セミナーに参加可能です。
購入期限チケットの購入期限は当日5月24日の18:00までとさせていただきます。
主催ローカルナレッジ編集部(スタイル株式会社)
※プログラムの内容・時間などは予告なく変更となる可能性があります。ご了承ください。
島薗 進(しまぞの・すすむ)
島薗 進(しまぞの すすむ)

1948年東京都生まれ。東京大学文学部宗教学科卒業。同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学名誉教授。上智大学グリーフケア研究所所長を経て、大正大学地域構想研究所客員教授。おもな研究領域は、近代日本宗教史、宗教理論、死生学。『宗教学の名著30』(筑摩書房)、『宗教ってなんだろう?』(平凡社)、『ともに悲嘆を生きる』(朝日選書)、『日本仏教の社会倫理』(岩波書店)など著書多数。

孫大輔(そん・だいすけ)
孫大輔(そん だいすけ)

鳥取大学医学部地域医療学講座 准教授
2000年に東京大学医学部を卒業後、同大学附属病院 腎臓・内分泌内科、東京ほくと医療生協 北足立生協診療所、東京大学医学教育国際研究センター・講師等を経て、2020年に鳥取に移住。日野病院総合診療科勤務の後、鳥取大学医学部地域医療学講座・講師、2024年から現職。これまで1000本以上の映画を鑑賞、自らも短編映画『下街ろまん』(2019年)、『うちげでいきたい』(2022年)を制作。YouTubeチャンネル「そんそんずアカデミー」で、哲学・心理学・文学など大人の教養のための番組を配信中。
鳥取の総合診療専門医を 育てるプログラム
『医療とケアの現象学 当事者の経験に迫る質的研究アプローチ』(ナカニシヤ出版、2023年)
『臨床と宗教 死に臨む患者へのスピリチュアルケア』(南山堂、2023年)