死生観とグリーフケア

View of Life and Death and Grief Care

それまでも国家としての、あるいはさまざまな宗教における死生観なるものは存在していましたが、“日本人としての”死生観が芽生え始めたのは、国家の近代化が加速する明治後半のことでした。つまり世界の中における日本が意識され始め、世界に日本を説明する必要性が生じてきた頃です。そしてこの頃から死生観が少しづつ個人化してきます。集団で生きている時代には盲目的に受けれていた宗教に基づく死生観が少しづつ溶けてきた。そうなると死や生きていることの意味を個人が確かめなければならなくなってくる。個として生と死の意味を考えようとすると、逆説的ですが、自分が故郷をはじめとするさまざまな自然や他者とつながっていることを発見し、他者との連帯感や愛は個人の命を超えた共通の命の存在を確信させてくれます。この具体的な形がグリーフケアです。グリーフケアは豊かな死生観を育むための活動でもあるのです。

島薗塾

【島薗進氏による私塾】あなた自身の死生観のために
〜第2回:音楽・うたから探る日本人の死生観と自身の死生観

宗教学者・島薗進氏のオンライン私塾の第3シリーズ「あなた自身の死生観のために」、第2回は「音楽・うたから探る日本人の死生観と自身の死生観」と題して、薬師山病院(京都市北区)の音楽療法士である岡下晶子さんをお迎えします。...

【島薗進氏による私塾】

【島薗進氏による私塾】あなた自身の死生観のために
〜第1回:島薗進が語る日本人の死生観と自身の死生観

ご好評を得てきた「ローカルナレッジ 島薗進氏による私塾」は、第1シリーズ「死にゆく人と愛の関係を再構築する技術」、第2シリーズ「新たなケアの文化とスピリチュアリティ」に続き、今年11月から第3シリーズを開始します。...

島薗進

『宗教のきほん なぜ「救い」を求めるのか』(NHK出版)の刊行を記念して、島薗進さんと同著の編集者によるトークイベントを開催

アンデルセンや宮沢賢治の物語をはじめ、文学や芸術における「救い」というテーマは、昔も今も人の心を打つ。この「救い」の教えは、キリスト教、仏教、イスラームなど世界中の宗教において教義の中心となってきた(そのような宗教を「救済宗教」と言う)。な...