被写体に向けた、強くて柔らかいコミュニケーション

被写体に向けた、強くて柔らかいコミュニケーション

SHORT HOPE:A Record of the Observer

Photo : 大阪・街・歩く人々 / beeboys / Adobe Stock

Posted by local knowledge on June 1st, 2026

“ 2021年11月、仕事で大阪・天王寺のホテル泊。AM5:00時に起床、思い立って隣町の釜ヶ崎まで朝の散歩をすることにした。大きな道路を渡り、路地へ入り、静まり返った飛田新地を抜けて20分程歩くと三角公園に到着。朝日が昇り始めた公園は黄金色に輝いており、黄金の公園には派手な服を着た2人の男が居たので「おはようございます」と話し掛けた。「うちら大切な人の為に毎朝公園の掃除してるのよ」というので、僕も手伝うことにした。何処からか運ばれてきたソファの周囲に落ちた主にタバコの吸い殻を拾ってゴミ袋へ捨てていく。15分ほどすると辺りはすっかり綺麗になった。さてと「お二人の写真を撮ってもいいですか?」。「ええよ!うちらカップルやねん!チュウしよか!」と頼んでいないのにチュウしてくれた。この写真を撮ったことをきっかけに、この街・釜ヶ崎を撮ろうと決意した。それから月に一度、神奈川県から大阪まで夜行バスで通い、安宿に泊まって撮影を続けている。次第にいつかこの街に住みたいと思うようになり、変わりゆく街・釜ヶ崎を、そこで暮らす人々を永遠に写真として残したい。この街が無かったことにしてはいけないと、責任感のようなものが芽生え始めた。(元田敬三)”

というわけで。元田さんは2021年秋から大阪市西成区にある日雇い労働者の街・釜ヶ崎に約30年ぶりに通い始め、今回ご紹介する新作写真集『SHORT HOPE』の刊行に至ることになります。

“ 元田敬三さんの写真を見ると、被写体となる人たちとのコミュニケーション、距離の取り方に独特のものを感じます。彼らにべたべた纏わりつくのではなく、かといってネガティブに接するのでもない、絶妙の距離感を保ちつつ、その周囲の環境も画面にとり入れてシャッターを切っていきます。大阪の釜ヶ崎(西成地区)という、さまざまな形でレッテルが貼られてきた、やや特殊な場所でも、その強さと柔らかさを両方とも備えた眼差しのあり方に変わりはありません。ふげん社での展示にあわせて開催された大西みつぐさんとのトークで、元田さんは本書について「自分にとっての代表作になる」と言い切っていました。『SHORT HOPE』は、その言葉通りの出来栄えの写真集です。この本がどんなふうに出来上がっていったのか、裏話も含めて、いろいろとお話を伺いたいと思っています。(飯沢耕太郎)”

6月5日(金曜)の「写真集の夜」第13回は、今年3月に刊行された新作写真集『SHORT HOPE』に収録された写真について元田さんと飯沢さんに語り合っていただきます。いつものように夜の10時からのスタートです。お申し込みは下記から(無料です)。
https://www.localknowledge.jp/2026/05/2244/