音楽、地の塩となりて
the Salt of the Earth、the Light of the World
新約聖書「マタイによる福音書」第五章・九項に「地の塩、世の光」という有名な言葉があります。「世の光」は神に従うものは世の光であり「丘の上の町」である、という比喩とともに語られ、誰もが自ずから仰ぎ見るような存在を指す積極的な概念ですが、一方の「地の塩」は、まったく目立たないけれど、食事や生命の維持のために決定的に必要なものです。神に、そしてイエスに従うものは「地の塩」である、というわけです。村上陽一郎氏にとって「地の塩」に相当するものは何か。あるときは学問であり、またあるときは信仰でした。しかしいつも重要な候補として落ちないものが一つだけありました。それが「音楽」でした。氏にとっての音楽が人生の光であり、塩でもあり続けてきた理由はどこにあるのかを解き明かしていく旅に出かけましょう。